Posted on: 2021年3月8日 Posted by: tutrips Comments: 0

2021年3月8日(月)10:00〜

 東北大学・プラスチックスマート戦略のための超域学際研究拠点 TU-TRIPS(Tohoku University Transdisciplinary Research Initiative for Plastic Smart)主催のウェビナーを開催しました。大学生、企業、自治体、教育・研究機関等から、約60名の方にご参加いただきました。松八重先生の進行のもと、興味深い講演と、活発なディスカッションが繰り広げられました。

 世界的にプラスチック廃棄物の適正処理は大きな課題となっています。今回のウェビナーは、これら諸問題の解決に向けて、考えるきっかけになれたことと思います。この困難な課題に対して、消費者視点からプラスチック製品の使い方を、また企業視点では製品の提供方法や、デザイン、そして鳥瞰的な視点からは、3R(リデュース、リュース、リサイクル)を促進させることなど様々なことについて再考することができたのではないかと思います。

【講演】

10:00~10:30

『プラスチック・スマートアクションとSDGs』

 プラスチック・スマートアクションを前提に、松八重先生のお話では、 世界全体のプラスチック素材の消費と廃棄について概要がご理解いただけたかと思います。家庭での生活に並び、産業での利用、輸送の過程等、そして医療の世界など、私たちの社会では様々な側面から見て、プラスチックの利用を0ゼロにすることは不可能です。しかし、使用されたプラスチックの適正な処理を意識して、プラスチック素材とのスマートな付き合い方を実践していかなければなりません。


10:30~11:10

『プラスチックのリデュースから始めるSDGsへの貢献:問題の理解とこれからの消費』

 消費の観点から、プラスチックに関して解決しなければならない問題と、そのための視点をご紹介いただきました。非常にわかりやすく、消費者がなにから始めればいいのか、少しずづでも、各個人が意識してリデュースに取り組むことの大切さがよくわかりました。

田崎先生のご講演内容については、国立環境研究所の下記サイトにまとめられておりますので、ぜひご参照ください。

「社会対話・協働推進オフィス」(略称「対話オフィス」)より


11:10~11:40

『プラスチックのバイオ化とリサイクルの動向』

 吉岡敏明 プラスチックのバイオ化とケミカルリサイクルについて、近年の動向と今後を見据えたプラスチックとの付き合い方を紹介いただきました。これから、回収されたプラスチックを原料として加工し、うまく循環させていく仕組みを確立していくことが大切です。


トークセッション

11:40~12:00

『プラスチック問題から考えるSDGs』

 事前に頂いていたお題に加え、会場から投稿された話題について、活発なディスカッションが行われました。

(1)過剰包装によって「安心感」を得ているように思います。過剰包装をやめることで生まれる不安とどう向き合っていくのか、について聞いてみたいです。

(2)プラスチック製品を扱っている企業は今後どう変化していくべきなのか。

(3)環境と経済の両立をどう考えるか。

(4)ペットボトルのキャップの回収は本当に環境に意味があるのか。→回収率を上げるためにはどのような活動をすべきか

(5)現在でも沢山の飲み終わりのペットボトルが分別されずに捨てられているが、分別することは大切なのか否か

これらの疑問について、討論が繰り広げられました。

トークセッションの様子は、下記映像でご覧いただけます。

講演者情報

田崎 智宏(たさき ともひろ) 国立研究開発法人国立環境研究所 室長

2001年度から国立環境研究所の研究者を務め、現在、資源循環・廃棄物研究センターの循環型社会システム研究室長。博士(学術)。システム工学と政策研究の2つの専門性を活かして、廃棄物・リサイクルや持続可能な開発関連(指標やSDGsなど)の研究に従事してきた。中央環境審議会家電リサイクル制度評価検討小委員会委員、循環基本計画指標検討ワーキンググループ委員、環境省SDGsステークホルダーズ・ミーティング構成員などを歴任。

 吉岡 敏明(よしおか としあき) 東北大学大学院環境科学研究科 教授

東北大学大学院工学研究科、環境保全センターを経て、2004年より大学院環境学研究科に所属。教育研究評議員、環境科学研究科研究科長を務める。リサイクル技術開発本多賞、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)や環境大臣表彰などを受賞。国や地方自治体の環境関連の多くの委員会等において委員や座長等、国際会議等の主催、資源循環に関する国際学術誌のEIC、廃棄物資源循環学会会長やその他多くの学協会の理事を歴任。研究分野は環境化学、環境技術、化学プロセス、資源・物質循環などで、「化学反応を用いた資源・物質循環プロセスの開発」を基盤とした研究を推進している。

 松八重 一代(まつばえ かずよ) 東北大学大学院環境科学研究科 教授

2004年2月に東北大学大学院環境科学研究科で研究を開始、工学研究科金属フロンティア工学専攻、クイーンズランド大学持続可能鉱物研究所の在外研究を経て、2016年8月より現職。博士(経済学)。マテリアルフロー分析と産業連関解析を応用し、サプライチェーンを通じた様々な希少資源の流れを解析する研究に従事してきた。内閣府 総合科学技術会議 科学技術イノベーション戦略協議会委員、経済産業省産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会委員、日本学術会議第25期連携会員などを歴任。